TALK / 2026.07.15
フィットネスエンターテイナーの流儀。
株式会社D-Revolutions 代表 魚原 大聞き手 渋谷 彩華

コロナで営業停止になっても筋トレで乗り越え、岡山の土地を黙って買って妻に怒られ、「ありがとう」と「ごめんなさい」だけは絶対に言い続ける——そんな男のリアルな話。
コロナで営業停止3ヶ月。それでも筋トレとあつ森で乗り越えた。
メンタルが一番やられた時、どうやって乗り切りましたか?
直近で言うとコロナですね。
フィットネスクラブって最初に営業停止になったんですよ。何もできない状態が3ヶ月ぐらい続いて。ただ、メンタルがやられたというより「考える時間ができたな」という感覚でした。
その時にやっていたのは、やっぱり運動ですね。筋トレするとすっきりするし、ポジティブになれる。あとは家族でずっとあつ森をやってたり。生まれてから家族でああんなに一緒にいることがなかったので、あの時間はあの時間で楽しみました。今思えば、ですけど(笑)
起業して後悔した夜はありますか?
一回もないですね。
メリットとデメリットをどんだけ並べても、今でよかったなと思う。自分が決めたことは粘り強く一生懸命できるタイプなので、人が決めたことだとやりきれないんですよ。
自分の会社って、完全に自分ごとじゃないですか。だから後悔もしないんだと思います。
人生で一番お金を失った出来事は?
飲食やったり、ダンススタジオやったり、うまくいった事業より閉めてしまった店舗の方が多いですね。
あと、付き合いが増えてくると詐欺まがいなこともあって、数百万飛んだことはあります。
頭のいい悪いことをする人もいっぱいいるので、そこを見抜いていけるようにというのは大事だと思っています。

成功する人の共通点と、うまくいかない人の特徴は?
レスポンスが早いこと、そして質問力が高いこと。私の周りで仕事できる人は絶対レスポンスが早い。
質問が細かい人って、自分がやったらどうなるかを想像してるから聞いてくるんですよ。
「質問は何もないです」は、天才か何も考えていないかのどちらかです(笑)
あと、傾聴スキルが高い人。話す力より聞く力の方が、成功しているイメージがあります。
成功に必要なのは努力・才能・学歴・運、どれですか?
才能はいらないかな、と思いましたね。
学歴は高いと付き合いが変わるので、いろんな案件を通しやすかったりはする。運は行動してきた人に出てくるもの。だから順番にすると努力・運・学歴・才能かな。
ただ、嫌なことを我慢してやるのが努力というなら、私は努力は好きじゃないんですよ。
自分がやりたいことだったら、人が「やめとき」と言っても楽しめてやれる。継続してやれるこの力こそが、成功に必要なものだと思っています。
主婦でも真似できるお金の増やし方・守り方のヒントは?
まず、主婦という仕事が素晴らしいということを前提に。うちの妻も専業主婦ですが、何もしていないと思ったことは一切ない。
家族はチームで、私が一番稼げる、妻が一番家事に向いている。それだけの役割分担なんです。
その上で収入を増やすなら、フィットネス業界は主婦に向いていますよ。ヨガやピラティスのインストラクターは、レッスンの1時間だけ行って帰ってくる働き方ができる。しかも自分も健康になれる。
みんなお金を払って筋トレするのに、私はお金をもらって筋トレができている。
こんなに効率のいい仕事はないと思っています(笑)
「お金をもらって筋トレができている」 → 好きなことでお金を稼ぐ、の理想形。
仕事しながら健康にもなれるなんて、主婦のセカンドキャリアとしてこれ以上のものはないかもしれない。

岡山の土地を黙って買ったら、妻が泣いていた理由
起業についてパートナーから反対されたことはありますか?
反対されたことはないですね。
私の周りで反対される人の共通点は、やることなすこと失敗している人。私は失敗したことを言わないし、途中で逃げ出したりもしないので、あまり言われないんだと思います。
ただ1個だけめっちゃ怒られたのが、岡山県に土地を黙って買ったこと(笑)
事後報告した時にものすごく怒られて、後から理由を聞いたら「そんな大きいお金を使うのに相談がなかった、信用されていないのかと思った」と。それはそうだなと思いましたね。ちゃんと今も仲良くしていますけど。
「大きな買い物を黙っていた」 → 怒られた理由が「お金の問題」じゃなくて「相談がなかった=信用されていないのか」だったこと。
夫婦の信頼って、金額じゃなくて「一緒に決めること」にある。
パートナーから仕事について怒られたことは?
バーとか夜系の店舗の話が来た時に、ちょっと軽めに妻に振ってみたら完全スルーされて(笑)
はっきり嫌とは言わないタイプの妻がそうやって無視したので、「あ、それはやめとこう」で終わりました。
社員のモチベーションを上げるのと、パートナーの機嫌を取るのはどっちが難しいですか?
社員の方が難しいですね。
仕事の一部しか社員は知らないし、人数が多くなると全員に会えるわけじゃないので、任せっきりになってしまう部分がある。その分、難しい。
守るものがある人の方が、経営者として成功すると思いますか?
イエスですね。
何もない状態で何があっても自分だけが被る、という生き切り方をする人も周りにいますが、やっぱり守るべきものがある人の方が我慢強くて、成功しているイメージがあります。

コミュ力お化けの母と姉に囲まれて育ったら、それが「普通」だと思っていた
幼少期はどんな子どもでしたか?今のビジネスにつながっている部分は?
野球少年でした。
結構強いチームでキャプテンをやっていて、人前に出るのがすごく好きだった。文化祭でも体育祭でも前でしゃべる人、みたいな感じで。
今の仕事につながるところで言うと、フィットネスやダンスの世界って、スキルが高い人よりコミュニケーション能力が高い人の方が人気なんですよ。一定のスキルさえあれば、コミュ力が決め手になる。
そのコミュ力のベースは、母と姉から来ていると思います。2人ともコミュ力お化けで、それが当たり前の環境で育ったから、普通だと思ってた。
でも外に出たらお化けでした(笑)
お母様はどんな性格でしたか?
優しくて、これやったらあかんみたいなことを言われた記憶がないんですよ。
何でもやらせてくれた。今でも仲良くて、3日前もご飯を一緒に食べました。
ただ幼少期の記憶があまりなくて。
経営者の方って過去の記憶があまりない人が多い気がするんですよ。覚えられるメモリーのキャパを超えると、昔の記憶から消えていくのかもしれないですね(笑)
お母様との一番の思い出、尊敬しているところは?
小学校低学年の参観日に、ずっと後ろの席の子と喋っていて、途中で歩き回ったりもしていたんですよ。
自分ではいいパフォーマンスができたと思って帰ったら、母が玄関で泣いていた。「恥ずかしかった」と言われて。
なんであんなことしたか覚えていないんですけど、あれだけ泣かせてしまったのはすごく記憶に残っています。
尊敬しているところは、うちの唐揚げ居酒屋の店長をやってもらっていたんですが、来るお客さん一人一人へのホスピタリティが本当に素晴らしかった。
コミュ力お化けの話がまたここでも出てくるんですが、それをずっと自然にやり続けられる人なんですよね。

「ありがとう」と「ごめんなさい」は絶対に言い続ける
20代の自分にアドバイスするとしたら?
投資ですね。
小額からでも早くから投資を始めて、複利を回しておくこと。10年・20年のスパンで見ると全然違う。
あとは会社のキャッシュフローをしっかり見ること。事業はいろいろ紆余曲折あるので。
10秒で答えてください。子どもに勧めるなら起業と就職どっち?
起業(即答)
今の子たちには先に起業して、失敗したら就職するでいいんじゃないかなと思っています。

「ありがとうとごめんなさいは絶対ちゃんと言う」——インタビューの最後にそう言った。
言動に一致しているかどうかが信頼につながる、とも。
岡山の土地を黙って買って怒られ、完全スルーで夜系の店舗を諦め、コロナはあつ森と筋トレで乗り越えた。どのエピソードにも、妻との関係が出てくる。
「女性が元気な国って、絶対元気じゃないですか」——
フィットネスエンターテイナーが最後に言ったその言葉が、一番印象に残った。
